KDDの論文の扱いについて
本プロジェクトから投稿した二つの論文
- Efficient SimRank Computation via Linearization, by Takanori Maehara, Mitsuru Kusumoto and Ken-ichi Kawarabayashi
- Network Structural Analysis via Core-Tree-Decomposition, Takuya Akiba, Takanori Maehara, and Ken-ichi Kawarabayashi
が、KDDに採択されたものの、論文が取り下げになりました。顛末は以下のとおりです。
まず委員会からは、両論文とも、科学的、技術的貢献は問題ないものの、先行論文
- Scalable Similarity Search for SimRank(SIGMOD)
- Computing Personalized PageRank Quickly by Exploiting Graph Structures(VLDB)
との内容重複の存在が指摘されました.我々の主張は、基礎的な部分のみの重複であり本質的な貢献は全く持って異なっている.実際、科学的貢献が違うものを科学的見地から、ページ制限などがある中、別論文で発表すること事態、問題はないと考えていました。またほぼすべての論文は、過去の仕事の上で成り立っているので、程度の差はあれ、このような重複があることは普通であると考えていました。
しかしながら委員会からは残念ながら、基礎的な部分とはいえ、書き方にも少し問題あると指摘され、故意ではないものの、内容重複であるとみなされました.この「内容重複」が投稿規定に引っかかると指摘され、従って,論文を取り下げになりました。
今回の論文は、第一著者を中心に進めてきたプロジェクトですが、このような重複を指摘される危険性に気づかなかったのは、ひとえに私の力不足と、不徳の致すところです。今後はこのようなことが起こらぬよう細心の注意を払います。
また今回取り下げにあった論文は、委員会からも科学的、技術的貢献は問題ないとされているので、両論文とも(前述の重複を指摘された論文とともに)ジャーナルにまとめてしかるべき論文誌に投稿する予定です。
今回の論文の(自分以外の)著者たちは、現在まで本プロジェクトの中心的役割を担ってきました。今後も本プロジェクトを牽引していく人材であり、そして、日本の情報学、コンピューターサイエンスの未来を担っていく人材であると信じています。皆様には、彼らに対するご支援を今まで同様にお願いし、温かい目で将来の人材に期待していただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
研究総括 河原林 健一